更年期障害による理学療法
月経や更年期障害が原因で心身の不調を多くの女性が訴えています。
しかし、日本では不調に対するケアや治療が行き届いていないのが現状です。
特に更年期障害を経験し閉経を迎える時期は、人生においても様々な変化が起きる時期です。
日本人の女性が閉経を迎える年齢は、50~51歳といわれており、一般的には閉経をはさんだ、45歳~55歳の約10年間を「更年期」と呼びます。
※ただし閉経年齢には個人差があるので、40代前半からはじまる人もいます。
更年期障害は、閉経にともない卵巣の働きが衰え、女性ホルモンである「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌が急激に減少することで起こります。
更年期障害を経験している80%のうち、医療機関に適切な治療を求めたのは20%と低く、ホルモン治療は2%となっています(欧米では23~52%)。
症状
症更年期症状は、ほてりや発汗、冷え、肩こり、動悸、頭痛、物忘れ、考えがまとまらない、気分の落ち込み、不眠、イライラなど、実にさまざまです。また、更年期症状の現れ方には個人差があり、重症化して起きるのもつらい状態になる人がいる一方で、症状が出ないまま更年期が過ぎていく人もいます。
・血管運動症 ほてり・のぼせ・手足の冷え・動悸 ・知覚神経症 手足のしびれ・感覚の鈍化・耳鳴り・身体の痛みなど ・精神神経症 気分の浮き沈み・易怒性・不眠・焦燥感・憂うつ・めまい・頭痛 ・運動器の症状 疲労感・手足の痛み・肩こり・腰痛・骨密度の低下・筋量の減少など ・泌尿生殖器の症状 膣の乾燥・尿失禁・膀胱炎・萎縮性膣炎など
治療方法
1ホルモンなどの投薬治療
重い症状がある場合は、ホルモン補充療法を行います。不足しているエストロゲンなどの女性ホルモンを少し補うことで症状を緩和します。
補充療法を5年以上続けると、乳がんが発生する可能性が高まりますが、5年未満ならその問題はないと考えられています。
また、症状の緩和に、漢方薬の当帰芍薬散[とうきしゃくやくさん]、加味逍遙散[かみしょうようさん]、桂枝茯苓丸[けいしぶくりょうがん]を使うことがあります。
うつや不安症状が強い場合などには、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬を使うこともあります。
2精神・心理ケア
【マインドフィットネスベースド認知療法(MBCT)】2002年考案された療法
特に、否定的な思想や感情、出来事から自由になることを目的とした治療で、
ストレスマネージメント・リラクゼーション・ヨガ・瞑想などと認知療法の技術を合わせたもの。
現在、各国の医療分野で注目されています!!
3生活環境の見直し(がんばらない生活)
Ⅰ充分な睡眠
睡眠不足は症状を重くします。夜なかなか寝付けないという方も多いです。体がほてって寝つきが悪い人は、氷枕などを利用すると寝つきがよくなる場合があります。また、夜のカフェインは控えましょう。
Ⅱ運動
運動で血行が良くなると、更年期症状の緩和が期待できます。楽しみながら続けられる運動を選びましょう。また、毎日体を動かすことで、夜寝つきが良くなります。
Ⅲ情報の統一化
更年期には、数日前のことも忘れてしまうことがあります。そこで、スケジュールや家庭の用事、体調、簡単な日記などを、すべて一つの手帳にまとめます。そうすると、行動のつながりを思い出しやすくなり、次に何をするかを考えられるようになって、イライラが減ります。